持続可能な循環型社会~川上から川下まで~
木は、長い年月をかけ、家の柱や梁となる大きさに育ちます。木を伐採した後には植林します。長い時間をかけて育て上げられた木が、やがて家となり、その使命を全うする頃には、また次の木が育っている。これがかつて当たり前に行われていた、川上から川下までが一体となった生産サイクルの源です。それがいずれ、山林を守り、人を守り、技術を守ることに繋がります。時代を越えて住み継げる家づくりは、限りある資源や環境に配慮した、持続可能な循環型建築に通ずるだけでなく、生産や流通といった産業構造の安定化にも繋がります。
私たち、建築に携る者の使命は、「人の住生活を守ること」です。そして、それを維持するため、「資源となる自然環境を守ること」が必要になります。さらに、その意味を理解し、「先人たちの知恵を次世代に繋ぐこと」により、はじめて持続可能になるのではないでしょうか。
アトリエ木粋舎では、「日本の四季を楽しむ家」をテーマにしています。「心地よく、健康で、環境にやさしい家づくり」の持続可能性を考えた時、それをもっとも自然な形で実現することが必要であり、またそれは日本の家づくりの中にヒントがあると気付きました。自然に抗わず、四季(自然)を楽しむという行為が、自然と共に生きてきた日本人の心の豊かさの象徴であり、今求められている家づくりの原点がそこにあるような気がします。
日本には日本の家づくりがあります。四季の移ろいによって変化する自然の気配、光と陰、風、音、匂い。日本の家は美しい自然が生み出す心地よさを採り入れながら、木を中心に自然素材を組み合わせてつくられてきました。自然素材が醸し出す表情や感触、繊細さ、温もり、優しさは、暮らしの中でホッとやすらぎを感じさせてくれます。日本人の生活文化を豊かにしてきた、日本固有の空間構成である内と外との中間領域、曖昧性。住むほどに味わいが増し、居心地のよい家。「ずっとこの家に住み続けたい。」そう感じてもらえる家づくりを、私たちは目指しています。